成年後見制度とはどういった制度なのか

成年後見制度の種類
①法定後見制度
法定後見制度には「後見」「保佐」「補助」の3種類があり、本人の判断能力等の事情に応じて制度を選べます。家庭裁判所によって選任された「成年後見人」「保佐人」「補助人」は本人(被後見人・被保佐人・被補助人)の代理となり契約を締結することが出来ます。
また、本人が成年被後見人等の同意を得ないで行った契約などを取り消す事ができ、本人を保護します。
また、本人が成年被後見人等の同意を得ないで行った契約などを取り消す事ができ、本人を保護します。
■法定後見制度の概要■

保佐及び補助の取り消し権や同意権は、日常品生活に関する行為以外で民法13条1項に定めたものになりますが、申立てによりその範囲を広げることも可能です。
(※1)民法13条1項とは
- 1. 元本を領収し、又は利用すること。
- 2. 借財又は保証をすること。
- 3. 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
- 4. 訴訟行為をすること。
- 5. 贈与、和解又は仲裁合意をすること。
- 6. 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
- 7. 贈与の申込みを拒絶、遺贈を放棄、負担付贈与の申込み承諾、負担付遺贈を承認すること。
- 8. 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
- 9. 民法第602条(※2)に定める期間を超える賃貸借をすること。
(※2)民法第602条
- 1. 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借 10年
- 2. 前号に掲げる賃貸借以外の土地の賃貸借 5年
- 3. 建物の賃貸借 3年
- 4. 動産の賃貸借 6ヶ月
②任意後見制度
任意後見制度は、本人の判断能力が十分にあるときに将来の事を考え(判断能力が不十分になってしまった時の備えとして)予め自分が選んだ代理人(任意後見人)に財産管理などを委任する契約となります。
また、本人の意志(財産管理など委任する範囲)を明確にしておく必要がありますので公正証書によることが要件とされます。任意後見契約を締結すると公証人が任意後見契約の登記をする事となっており、登記をすることにより任意後見契約が締結されていることが明らかになります。
なお、任意後見制度の申立てをした場合には、本人の判断能力が不十分であると認められた時に、家庭裁判所で任意後見監督人を選任します。そして、任意後見監督人が選任された時に任意後見契約の効力が発生します。
また、本人の意志(財産管理など委任する範囲)を明確にしておく必要がありますので公正証書によることが要件とされます。任意後見契約を締結すると公証人が任意後見契約の登記をする事となっており、登記をすることにより任意後見契約が締結されていることが明らかになります。
なお、任意後見制度の申立てをした場合には、本人の判断能力が不十分であると認められた時に、家庭裁判所で任意後見監督人を選任します。そして、任意後見監督人が選任された時に任意後見契約の効力が発生します。
成年後見制度手続きの流れ
家庭裁判所へ後見制度の申立て
調査官による調査
書記官や調査官が調査を行うことがあります
書記官や調査官が調査を行うことがあります
鑑 定
判断能力がどの程度あるのか医学的に判定
判断能力がどの程度あるのか医学的に判定
審 判
後見などが開始された場合は申立人、成年後見人等、本人には、成年後見人等が選任された審判書謄本が郵送されます。
後見などが開始された場合は申立人、成年後見人等、本人には、成年後見人等が選任された審判書謄本が郵送されます。
登 記
裁判所が法務局へ後見開始の登記を行います。
裁判所が法務局へ後見開始の登記を行います。
財産目録の提出
成年後見人が専任されてから1ヶ月以内に提出します。
成年後見人が専任されてから1ヶ月以内に提出します。
被後見人等の財産管理

被後見人の財産を処分しなければいけない事情などが出来た場合には、後見人は自己の責任において被後見人の財産を処分することができます。
しかし、処分する場合には、その必要性を考慮して、被後見人に損害を与えないように注意する必要があります。
一般的に多いのが、親が認知症になってしまって施設に入居させたい場合に家を売却しその入居資金に当てる等です。しかし、後見人は被後見人の財産を処分する権利を与えられてはいますが被後見人が居住する家を処分するとなると家庭裁判所の許可が必要になってきますので注意してください。
記事監修
借地権や底地で様々な悩みを抱えている方々へ!その悩み解決します。
監修者
株式会社マーキュリー 取締役 大庭 辰夫