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マンションの建替えは少ない?老朽化によるマンションの建替えについて

マンションが経年により、修繕だけでは安全面の確保が困難になったとき、いよいよ「建替え」を考えなければなりません。 しかしながら、マンションの建替えは容易ではなく、過去の日本における建替えの事例はあまり多くはありません。 この記事では、マンションの建替えの難しさや関わる法律、その実態について分かりやすく解説します。 建替えについて理解し、安全で安心して暮らせる住環境を守るようにしましょう。

老朽化によるマンションの建替え イメージ
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マンションの建替え状況

マンションの建て替えとは、既存のマンションを一度取り壊し、その後新たにマンションを建築することです。
マンションには、法定耐用年数が設定されており、この時期が建て替えを最初に検討する目安となるタイミングです。
しかし、実際にはマンションの建替えは少なく、ほとんど行われていません。
全国のマンションストック数は、約694.3万戸(2022年末時点)あり、そのうち旧耐震基準のマンションは約103万戸存在しますが、2023年3月時点で建て替えが完了したマンションはわずか282件、約23,000戸です。
この数字から、マンションの建て替え件数が非常に少ないことが明らかとなっています。

国土交通省:分譲マンションストック戸数(2022年末現在/2023年8月10日更新) 国土交通省:マンション建替えの実施状況(2023年4月1日時点/2023年8月10日更新)

建て替えが少ない理由

マンションの建て替えが少ない理由は、建て替えの決議をとることが非常に困難なこと、建て替えの費用負担が重いことが主な理由です。
また、既存不適格であることが理由の場合もあります。
既存不適格とは、建築当時の法令に則って建築されたものの、現行の法令では違反となる建物のことです。
例えば、容積率500%の建物を建て替える場合、容積率が400%と指定されている地域では、容積率400%に是正しなければならないため、建て替え後は建物の規模が縮小されてしまいます。
一住戸あたりの面積を減らすか部屋数を減らす必要があるため、これもまた賛成の決議を取ることは難しいでしょう。

マンションの寿命はどれくらい?

先程、法定耐用年数が最初に建替えを検討する目安であるとお伝えしました。
法定耐用年数とは、建物の種類や構造によって定められてり、一般的には木造の建物は22年、鉄筋コンクリート(RC)や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)の建物は47年とされています。
あくまでこの法定耐用年数は、税務上の減価償却の計算基準であるため、建物の使用状況や修繕の履歴により実際の耐用年数は異なります。
一般的にはマンションの寿命は50年〜60年と言われていますが、安全面を考えると寿命ギリギリまで残しておくことは倒壊のリスクも高まり危険です。
やはり法定耐用年数である築47年を目安に建替えを検討されることをおすすめします。

マンションの建替え費用

マンションの建替えにかかる費用は、マンションの規模や資産価値、建設会社によって変わります。
原則、建替え費用に修繕積立金を使うことはできない点に注意が必要です。

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建替えのメリット

建替えには、修繕では得られない大きなメリットがあります。

  • 新築の部屋に住むことができる
  • 世代交代が進み、新しい住民が増える
  • 耐震性や機能性が上がる
  • 資産価値が上がる

建替えには費用がかかりますが、場合によっては資産価値が上がり、最終的には売却益が出ることもあります。

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マンションの建替えが必要かの判断

マンションの建替えの判断は以下を基準に考えましょう。

①築年数

建物の寿命は一般的に40〜50年とされています。築30年を超えたら老朽化が進み、設備や構造的な問題が出てくる可能性が高まります。このような状況になると、修繕だけでは対応しきれない問題が発生し、建替えを考慮する必要が出てきます。

②劣化の状況

築年数だけではなく、実際の建物の状態を確認することも重要です。定期的に建物の診断を行い、その結果をもとに建替えを検討することが求められます。特に、重大な構造的な問題や安全上のリスクがある場合は、早急に対策を取る必要があります。

③経済的な効果

建替えには大きな費用がかかりますが、新しいマンションにすることで販売価格が上昇し、経済的に有利になることもあります。
また、建替えにより設備が新しくなることで、管理費や修繕費用の削減につながることもあります。

③住民の意向

マンションの建替えは、住民全員が関わる大きな決定です。そのため、住民の意向をきちんと確認し、合意を得ることが重要です。建替えによるメリットやデメリットを十分に理解した上で、多数決や協議により意思決定を行います。

建替えの決め方

マンションは戸建と違い他の住民もいるため、建替えを行う場合は他の住民の同意が必要です。
マンションの建替えに関する法律は複数あり、どれを適用して行うかで方法が異なります。住民の同意を得るとき、建替え決議を行うか行わないか選択出来ます。

①建替え決議を行う場合

建替え決議を行う場合、区分所有法第62条により区分所有者および議決権の5分の4以上の同意で建替えを行う事ができます。

第六十二条(建替え決議) 集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。 参照:e-Govポータル「区分所有法第62条」

②建替え決議を行わない場合

区分所有法による建替え決議を行わない場合、民法が適用され、区分所有者全員の同意が必要になります。

マンションの建替え方法は2種類

マンションの建替えは、「区分所有法」の建替え(任意事業)と「マンション建替え円滑化法」の建替え(マンション建替え事業)があります。

①区分所有法の建替え(任意事業)

各区分所有者が個別で、建替え前のマンションの権利を任意の契約によりデベロッパーに売却し、新しく建てられたマンションを任意の契約により取得します。
行政の認可などが不要なため、手続きが少なく、場合によってはスムーズに建て替えを行うことができることがあります。
ただし、デベロッパーが信頼できることや建替えに合意せず、なかなか売り渡さない区分所有者がいないことが前提です。

②マンション建替え円滑化法の建替え(マンション建替え事業)

区分所有者が「マンション建替組合」を結成し、新たなマンションの建設を行います。
完成した新マンションのうち、区分所有者が取得後に残った部分はデベロッパーへ売却され、その収益が建替え事業の資金として使用されます。
多数決や法律に基づく認可により、確実な建替えが可能ですが、建替えに係る事業リスクは区分所有者が負います。

マンション建替え円滑化法による建替えの手順

マンション建替え円滑化法とは、マンションの建替えを円滑に進めるための法律です。
マンション建替え組合の結成や、老朽化で安全が確保できないマンションの建替えを促進するための規定が定められています。
マンション建替え円滑化法による建替えの大まかな手順は以下のとおりです。

①建替え決議

区分所有者及び議決権の4/5以上の合意により建替えが可能になります。

②売渡し請求

マンションの建替えに賛成しない者の区分所有権を、マンション建替組合が時価で買い取ります。

③権利変換計画の決定・行政認可

権利変換計画とは、既存のマンションの所有者が新しく建設されるマンションの所有権を獲得するための詳細な計画を作成することです。

④組合がマンションの権利を取得

マンション建替え組合が、区分所有者の権利を取得し、建物全体の権利を保有します。

⑤建替え事業の実施

建替えの工事が始まります。

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建て替えか修繕かの判断

国土交通省の「マンションの建替えか修繕かを判断するための マニュアル」によると、
「建替えか修繕・改修かの判断にあたっては、現マンションの老朽度と区分所有者の不満やニーズを把握し、要求する改善水準を設定した上で、それを修繕・改修で実現する場合と建替えにより実現する場合との改善効果と所要費用を比較して判断を行います。その結果、修繕・改修では居住者の安全性の確保ができない、要求改善水準が実現できない等建替えが合理的と判断される場合には、マンション敷地売却制度の活用も視野に入れつつ、建替え等の検討を進めます。」と記載があります。

参照:国土交通省「マンションの建替えか修繕かを判断するための マニュアル」

建替えは費用的な負担だけでなく、仮住まいへの引っ越しなどの手間もかかるため、容易に進むものではありません。
しかしながら、区分所有者からの同意が得られないからといって、何も対策を講じずにいると、マンションはやがて寿命を迎えて崩壊する危険性もあります。
大規模修繕によって建物の安全性を保証することができるのかどうか、注意深く判断する必要があります。
修繕では安全性が確保できず、しかし建替えの費用が捻出することができない場合、マンション敷地売却制度の活用も視野に入れると良いでしょう。

建替えとマンション敷地売却制度の違い

建替えを行う場合、元の敷地に新たなマンションを建設し、以前の区分所有者が再びそこに住むことが前提となります。
建替えに関する費用を負担するため、資金が必要です。
また、マンションの老朽化と同時に住民の高齢化が進んでおり、高齢の区分所有者は、余生を考えると建替えを面倒だと考える場合があります。
所有者が自ら住むのではなく、第三者に賃貸していたり、空室のまま放置されていたり、または相続した後に手付かずのままにしているケースも少なくありません。
このような状況下では、再度住むことを前提とした建替えへの合意形成は非常に困難になります。

一方で、マンション敷地売却制度では、マンションと敷地の売却までが対象となり、売却金は分配されます。そして、その後の活用は買受人の裁量に委ねられます。
他の場所に引っ越すこともでき、買受人が同じ土地にマンションを建設した場合は、そこに住むという選択肢も生まれます。

敷地売却制度に関して詳しくはこちらを参照ください。
【建替え以外の選択肢】マンション敷地売却制度とは?

建替えに備える

マンションの建替えを円滑に行うためには、必要に迫られる前にしっかりと準備と計画をしておくことが大切です。
何度もお伝えしているように、建替えは金銭的な負担が最も大きいです。
具体的な一時金はどれくらい必要か、仮住まいにはどれくらいかかるものなのかの計画を立て、建替えに備えましょう。
また、本当に建替えが必要かどうかの情報共有も齟齬が生じないように行うべきです。
まだ住める、修繕すれば安全だ。と考える住民が大半の状態では建替えは進みません。
建物や耐震の診断などの根拠を元に、建替えの必要性を共有しましょう。

新築マンションの建築が増えており、今後も高経年マンションは増えていきます。
マンションの建替えが少ない現状は、地震の多い日本では大変危険であり、変えていかなければなりません。
安全で安心して暮らせる住まいを実現するために、株式会社マーキュリーでは、マンション再生事業を行っております。
マンションの建替えに関することでしたら、まずご相談ください。
建替えだけでなく、修繕・改修、マンション敷地売却の可能性を模索し、最適なプランをご提案いたします。
相談は無料でございます。ぜひ一度、お問い合わせください。

大庭 辰夫

記事監修

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監修者
株式会社マーキュリー 取締役 大庭 辰夫